2012年 01月 29日

戸棚の奥で新聞紙に包まれ眠っていたこれは
たしか幼稚園に通っていた頃から家にあったはず。
ということは、1960年代のものだろう。
革のキャリングケースがいかにも当時っぽい。
前面積は新書ほど。
これでも当時としてはかなりコンパクトだったのだろう。
電源は単3電池4本だが、金属を多用し
バリコンやトランジスタなどの部品がいちいち大きく
さらにアンテナの長さが70cmほどもあるため
空の状態でもズシリとくる。

当時は真空管からトランジスタへの過渡期であり
トランジスタを内蔵していることが最新式の証でもあっただけに
ポータブルラジオとはいわず
トランジスタラジオと呼んでいたように思う。
といえば、RCサクセションを思い出す。
80年代まだ、そう呼んでいたのだろうか。
しかしトランジスタラジオもポータブルラジオも
今では過去の言葉となってしまい
それどころか電器店ではラジオそのものも
ほとんど見かけなくなった。
父はテレビ一辺倒だったが母はラジオ派で
台所では常にラジオをつけていた。
後にICを内蔵した超小型ラジオが出たときは
犬を散歩させながら聴きたいといい
一緒に買いに行ったことを覚えている。
そういえば、あれはどこにあるのだろう。
壊れているだろうと思いながらも試しに電池を入れてみる。
スイッチを入れるとガガッと大きな雑音がしたきり
どこをどう動かしても何の音もしない。
やれやれ、やはり…と諦めかけたところ
ほんの一瞬、声が聞こえた。
その後、分かったことだが、選局はかなりシビアで
ほんの少し指が滑っただけでも受信の帯域を外してしまう。
そういえば
あの頃流行っていた鉱石ラジオもこんな具合だっけ。
苦心の末、どうにか合わせることができた局の
ニュースを読むアナウンサーの声に耳を傾ける。
その声は大きくなったり小さくなったり
また、ときどき雑音で途切れたりもして
時を超えた遠い昔から聞こえてくるようだった。











