2012年 08月 13日
赤唐辛子とミノペン |
菜園のトウガラシが色づきはじめた。
今年植えたのは 「激辛唐辛子」 というヤツで
日ごろ馴染みの、いわゆる 「鷹の爪」 に比べうんとデカい。
摘み取ったトウガラシをザルに入れながら
ふとその昔、 「ノトス・レッドペッパー」 というミノーペンシルがあったことを思い出す。
ハンドメイドビルダー・南 祐二 氏の 「マロペン」 を原型に
ティムコがプラスチックで量産化したもので
発売されたのはたしか1990年ごろだったように思う。
当時はまだ (おそらく今もだろうが)
ミノーペンシルはマイナーな存在で
流通している商品は皆無に等しく
手に入れるにはショップのガラスケースの隅で
ひっそり売られているハンドメイド品を買うかミノーを改造するしかなく
操作方法はおろか 「ミノペン」という言葉さえ知らない人が大多数
という状況であった。
しかし、これは全国的に見た場合のことであって
地域的には、特に兵庫県の加古川においては
すでにキラーウエポンとして認知され、そのメソッドも確立されていた。
僕が初めてミノペンに出会ったのも加古川だった。
当時、加古川をホームグラウンドとする友人と釣りに行った際
渡辺義弘 氏による 「クレイジーペンシル」 を駆使し
轟々と流れる瀬の中からバスを引き出すシーンを何度も見せつけられ
そのすさまじい威力に唖然としたものだ。
ボトムヘビーのウエイトバランスは飛距離に優れ
直立し、頭をわずかに出した浮き姿勢は強い流れの中でもバランスを崩さず
ダイブし、ヒラを打つトリッキーなアクションは
傷つきながらも全力で逃げ惑う小魚そのものを再現する
という、まさに加古川のバスを釣るためのルアーであり
釣れるのは自明の理であった。
しかし、ハンドメイド品だけにクレイジーペンシルは非常に高価で手が出ず
(※ 1本6,000~8,000円ほどもした)
(※ 後にスプラッシュクラブから発売された同名のルアーは似て非なるものである)
あったとしても陸っぱりの釣りでは使うことがためらわれ
かといって市販ミノーを改造したものでは同様のアクションに至らず
悶々としていたところへ発売されただけにレッドペッパーに飛びつかないはずはなく
その後、これにはずいぶんイイ思いをさせてもらったものだ。
レッドペッパーはオリジナルのほかひと回り小さな 「Jr.」 があったが
それぞれボディシェイプが異なり
よくあるような単なる相似形ではなく、泳ぎも違う。
画像の右側にあるのがJr.。オリジナルに比べ飛距離は若干落ちるものの
水切れが良く、より機敏に反応するところが気に入り出番が多かった。
オリジナルもいくつかあったはずだが、どこへ仕舞い込んだか
それとも失くしてしまったのか見当たらない。
陸っぱりの釣りであっただけに何本も失くし
懐が暖かいときには 「大人買い」 をしたこともある。
つまり、それだけ使用頻度が高かったからで
加古川釣行においてはなくてはならないルアーであった。
ミノペンはその後
リバーバスがクローズアップされるようになると一躍脚光を浴び
それまで知る人のみぞ知る存在であったハンドメイドの秀作が世に出るきっかけも作った。
画像左はキャロル石井 氏作の 「YURI」。
友人だったこともあり、何本か譲ってもらったが
ロストが怖くておいそれとは投げられずにいたところ
手持ちのレッドペッパーを突き出た岩に引っ掛けてしまい
やむなく結び替えたYURIを、あろうことか同じ場所に引っ掛けてしまった。
上から引っ張ったり下ったりあれこれ試したもののどうやっても外れず
ついには切れてしまった。
頼んで塗ってもらったチャートバックは視力の弱い僕にはとても使い勝手が良く
大切に使っていただけに悔やまれてならなかった。
と、そんな思い出の数々も今は昔。
渡辺氏は陶芸家へ転身し石井氏も釣りから離れてしまった。
僕はといえばバス釣りどころか釣りそのものからも遠ざかり
加古川の土手道も、もうずいぶん久しく走っていないが
こうしてルアーを眺めながら遠い日々に思いを馳せるたび
切なさがこみ上げ、たまらない気分になってくる。
もう一度、加古川でミノペンを泳がせてみたい。
なに、釣れなくたって構いやしない。
明日か来週か、来月になるか。きっとそうしよう。
by bugscope
| 2012-08-13 15:39
| 釣り
|
Comments(2)
Commented
by
がちゃこ
at 2012-08-14 11:02
x
あいや待たれぃ!
加古川釣行 それもミノペン使用となれば
このワタクシ 黙ってられるかぃ!
デーモンあたりの川底のスリットは
すべて正確に画に描けると云っても過言ではなく
鉄橋下の大遠投で
そんじょそこらのマルスズキ釣りなんかよりは
よっぽどスゲーファイトを展開したこのワタクシを置いて
加古川に行くなんぞは許さんぞー
けどね
今の時期は釣れるポイント限られるよー
もちょっとしたら
落ち鮎に狂乱し出すから
その頃のほうがオモロいと思いますですよ
よっしゃ
行こいこ
やったるでー
あははー
0
Commented
by
bugscope at 2012-08-14 12:09
がちゃこさん
友人の多くがバス釣りから離れてしまった今となっては
今の加古川がどんな状況なのか知る由もありませんが
そんな彼らの中でも当時は
「加古川マスター」 を自認する連中が何人もいましてね
いうなれば加古川世代とでも申しましょうか。
あの頃は周辺の野池のどこでも竿を出せ
そしてまれに50cmが釣れることもありましたけど
同じサイズ、同じ数を釣ったにしても池と川では格が違い
加古川を知っている、加古川で釣る、ということが
そこらでバス釣りをしている者とは
一線を画すステータスになっていたように思います。
加古川のバスといえば瀬。そしてキーワードはアユ。
ですからして
面白いのはやはり春秋ということになりますわね。
一緒に大門&鉄橋へ? いいでしょう
僕も 「レッドペッパーを撒き餌にする」 と言われた男です。
行こうじゃあ~りませんか。
友人の多くがバス釣りから離れてしまった今となっては
今の加古川がどんな状況なのか知る由もありませんが
そんな彼らの中でも当時は
「加古川マスター」 を自認する連中が何人もいましてね
いうなれば加古川世代とでも申しましょうか。
あの頃は周辺の野池のどこでも竿を出せ
そしてまれに50cmが釣れることもありましたけど
同じサイズ、同じ数を釣ったにしても池と川では格が違い
加古川を知っている、加古川で釣る、ということが
そこらでバス釣りをしている者とは
一線を画すステータスになっていたように思います。
加古川のバスといえば瀬。そしてキーワードはアユ。
ですからして
面白いのはやはり春秋ということになりますわね。
一緒に大門&鉄橋へ? いいでしょう
僕も 「レッドペッパーを撒き餌にする」 と言われた男です。
行こうじゃあ~りませんか。